2008年 08月 25日
サッカーに野球、、、どうして日本は「点」が取れないんでしょう。(所詮私は素人ではありますが)サッカーに関して言えばMF、つまりお膳立てする人々の評価は世界的に見ても決して低くはずなのに。 決して個々の技術力で劣ってはいないと思われる我らがニッポンは、何故決定的なチャンスに弱いのか。ふと思いを巡らせてみると、結論としては月並みではありますが農耕民族だからなのかと感じます。対となるところの狩猟民族について言えば、結果がすべてです。その結果とは、獲れるか獲れないかだけです。さらに言えば、獲れないという結果は、究極的には死を意味します。食えないわけですから。 他方農耕民族はというと、そのプロセスの巧拙で収穫量に差が付くのは当然ですが、余程のことがない限り収穫量がゼロになることはないでしょう。農業が簡単と言っているのではありません。むしろその収穫量を最大化すべく、長年に渡り様々な創意工夫があったんだと思います。それは絶対に必要なものであり、評価すべきものです。ただし、獲れなければ「死」、このような緊張感を味わうことは稀でしょう。 W杯におけるサッカーや、オリンピックにおける野球のような一発勝負の舞台は、まさに狩りの場であり、狩猟民族的なマインドを持つ人が強いのは直感的には納得がいきます。 (ただサッカーの強いヨーロッパの人々が狩猟民族かというと、、、どうなんでしょう。歴史には弱いもので・・・) この議論にはもう一つの側面があります。個人レベルの責任の重さの違いです。これまた直感的な例で恐縮ですが、一家で農家であれば、お父ちゃんもお母ちゃんも(で、おそらく子供たちも)農業に従事するわけですが、チームプレイである一方、お父ちゃんが狩りをしている一家におけるお父ちゃんの責任は重大です。獲れなければ、一家飢え死にですから。 農耕民族におけるリスクもリターンも共有するネイチャーが、かえって個々の責任を希薄化させてしまうのでしょう。それに、なんだかんだと日本国民も寛大ですよね。ボール支配率も高く、惜しいチャンスがたくさんあったが負けてしまったような試合の場合、メディアは「日本惜敗」と報じ、「善戦」、次につながる敗戦、というムードになります。おかしいですよね。負けたのに。格好悪くても勝利に勝るものはないはずです。ファンタジスタもいいですが、泥臭くでもなんだかんだ、点を取ってくれるFWの方が絶対に偉いと思います。少なくとも部下としてはそういう人間が欲しい。真偽の程は定かではないですが、WBCの候補に星野監督が挙がっているとか。で本人もまんざらでもなさそうです。正直あれだけ惨敗した彼にそのようなroleをofferする感覚はまったく理解できません。 これらは何もスポーツに限ったことではなく、金融でも同様のことが言えます。米国など徹底した「自己責任」に基づく直接金融主体の海外市場に対し、商業銀行を軸とする間接金融国ニッポン。自らのポートフォリオからのキャリー(経過収益)を収益の中心とする商業銀行はまさしく農耕民族です。そのような文脈でいえば、投資銀行マンは良くも悪くも狩猟民族に近いですね。Deal Hunter。 私のチームはひたすら「勝ちに」こだわる戦闘集団でありたいと思ってます。惜しいpitch(プレゼン)ではダメ。とにかくマンデートです。さもないと1円も稼げません。ひいては全員路頭に迷うわけで。厳しいマーケット環境が続きますが、この原則はいつの時代も不変です。 とはいえ全員日本人の我がチーム、なかなか理想通りというわけにはいきませんけどね。 #
by flautebanker
| 2008-08-25 23:00
| investment bank
2008年 03月 21日
大した話ではないのですが、久しぶりに笑いのツボにはまった記事を某大手経済新聞に見つけたので。 サブプライムローンが組み込まれた証券化商品は、それらを組み込んだCDO、そしてそれらをさらにまとめたCDOがあったりとその仕組みは非常に複雑で、実際のリスクの計量化が困難であるのは皆さんもご存知の通りです。それが一連の流動性の欠落ともあいまって、このような状況となっているわけです。ちなみにそのような商品を組成したアレンジャーですら、プライシング(値付け)できないのですから、推して知るべしです。 かような商品群に対して、日本証券業協会は自主規制により開示の強化を目指すとの記事でした。一義的には様々な種類のリスクがごった煮となっているような商品の中身について、もっと詳しく開示せい、ということのようですが(いずれにしても詳細は不明です)、その行為を以下の比喩にて表現しております。 「野菜なども原産地がわかるよう表示する追跡可能性(トレーサビリティ)の仕組みを証券化商品にも導入する・・・」 や、野菜?? ここで当然私はスーパーでよく見る陳列棚の脇に誇らしげに微笑んでる農家のおじさんの顔を思い浮かべるわけです。 「私がこのキャベツを作りました!無農薬です。 XX県 △△町 山田太郎」 となると、今後証券化商品の目論見書には、アレンジャー担当者の満面の笑みの顔写真付きで、 「私がこの商品を作りました!無ディリバティブ(農薬?)・無レバレッジ(添加?)です!」 ・・・なわけないか。 でも一つ言えるのは、大概アレンジャーは、この商品を食いたいとは思ってません・・・・ #
by flautebanker
| 2008-03-21 11:41
| business
2008年 01月 30日
昨年を総括する漢字は「偽」だったそうですが、とにかく食品を始めとする「偽装」が話題の中心であった1年ではありました。しかしながら個人的にはとても違和感があります。 というのも賞味期限がちょっと過ぎていたことが、そんなに悪いことなのでしょうか? これほどまでにバッシングされるほどのことなのでしょうか。もちろん相当悪質な偽装がありましたので、それらすべてを一纏めにすることは幾分乱暴な議論にはなりますが、いずれにしてもこのムード、マスコミの報道も含めて少々行き過ぎの感は否めません。なんというかものすごく「過保護」な感じがするのです。子供を心配するあまり、学校などに理不尽な要求を繰り返す「モンスターペアレント」のような感覚でしょうか。 この行き過ぎ感、「過保護」感はこの食品偽装問題にとどまりません。 まずは「金融商品取引法」でしょうか。 金融マーケットの健全性と投資家保護強化を狙いに、証券取引法から生まれ変わった法律です。ところが投資家保護を尊重するあまり、正直投資家を小バカにしているかのような規制が満載となってしまいました。結果として金融業者(証券会社等)・投資家双方に過大な事務手続負担だけを残すような結果となりつつあります。投資にはリスクがつきものです。この法律が定めるがごとく、何か形式的に説明・書類提出を求めれば万事OKという問題ではないでしょう。投資家が真剣に商品を理解・分析をしたうえで投資を実行していく。その過程の中で失敗もあることでしょう。ただそのような経験を元に投資スキルが向上していくのではないかと。他方売るほうとしての金融業者は、プロフェッショナルなモラルを維持していくことで成り立つのではないでしょうか。どんなに法律で定めても、悪意があれば抜け穴を探すことに注力するでしょうから。ですから最低限の制度に、厳罰をセットにするほうがあるべき姿なのではないかと思ってしまうわけです。 消費者金融における上限金利引下げの議論も同様です。これまでの29.2%から15~18%に下がるわけですが、借り手はこれまで29.2%と知らずに借りてきたわけではなく、納得の上でしょう。現に米国では州によっては未だに30%を超える金利を容認しているところもあります(一方で一桁パーセントという上限金利を設定している州もありますが)。もちろん激しい回収による悲惨な事例が多いのも事実です。とはいえ、上限金利を引き下げることで国民の利益に資するという政府の主張には、多分にプロパガンダ的な要素を感じますし、何よりもビジネスとして成立している消費者金融業がまるで社会悪のような考え方は、私には「過保護」な印象を与えるのです。 最近はさすがに見直されていますが、ゆとり教育なんていうのも同様です。このように「過保護ニッポン」の事例には枚挙に暇がありませんが、この問題は突き詰めていくと「格差社会」を容認するか否かという大命題にたどり着くような気がします。格差社会をはっきりと容認する立場をとった小泉前首相以降は、選挙を意識してか、政府は最近軌道修正をしてきています。もはや経済的には先進国ではないという声が出ているくらい元気がなく、国際社会での存在感がますます薄れつつあるニッポンですが、今一度、国としてどういう方向に進んでいくのか、そのグランドデザインを見直す必要があるように思います。 ただこんな過保護なニッポンですが、これも日本人の美徳なのかもしれません。さらに言えば、あの某食肉加工業者は論外ですが、某老舗菓子メーカー、本当は「まだ食べられるのに勿体ない」なんていう日本人独特の美意識が深層心理としてあったのではないかとも思ってしまうのです。 #
by flautebanker
| 2008-01-30 11:28
| diary
2007年 07月 27日
「グリーンメーラー」:保有した株式の影響力をもとに、その発行会社や関係者に対して高値での引取りを要求する者をいう。 昨今、日本市場においてもようやくM&A全般にかかるルールが整えられ始めました。会社法や金融商品取引法(旧・証券取引法)に代表されるM&Aに関連する法制度の整備だけでなく、その運用面における司法の判断、つまり判例の積み重ねが非常に重要となります。 そんな中、非常に驚くべき判断が東京高裁によってなされました。メディアを賑わせている事案ですので皆さんもご存じかと思いますが、某社と某ファンドの対決局面における買収防衛策の発動です。その防衛策の法的な評価は他に譲るとして、私が最も驚いたのは当該ファンドが東京高裁によってこともあろうに「濫用的買収者」と認定された点です。この「濫用的買収者」がいわゆる「グリーンメーラー」と同義かどうかは微妙な議論ではあります。ただし、買収防衛策自体がその性質として株主にとって必ずしも平等ではない以上、その発動の根拠としては、会社の所有と経営の分離の大原則において、その買収防衛策の対象が活動的なアクティビストくらいでは正当化できないのは明白です。従って、高裁の言うところの濫用的買収者は、グリーンメーラーに極めて近い存在として扱われていると解釈されても致し方ないのではないでしょうか。むろん本案件にかかる最終的な結論は最高裁の判断に委ねられることが予想されますが、いずれにしても極めて踏み込んだ判断であると感じるのは私だけではないと思います。 さていくつかのポイントとしては、まず高裁が「濫用的買収者」と判断した根拠の一つとして「投資ファンドという性格上、顧客利益を優先、短中期的に株式転売でひたすら自らの利益を追求する存在」という下りがあげられます。ファンドという仕組みの性質上、顧客の利益優先なのはごくごく当たり前のことです。またこの某ファンドの投資行動が「企業価値を毀損するもの」とも高裁は述べています。これにはさすがに私も目を疑いました。企業価値を毀損させて一番困ってしまうのは、まさしくこのファンドであり、株主です。株主が自らの投資価値を毀損させるような行動をとるインセンティブはどこにあるのでしょうか。 「株式会社は理念的には企業価値を最大化して株主に分配する営利組織である。(略)従業員、取引先など多種多様な利害関係人(ステークホルダー)との不可分な関係を視野に入れた上で、企業価値を高めていくべきものであり」とここまではいいのですが、 「企業価値について、専ら株主利益のみを考慮すれば足りるという考え方には限界があり、採用することができない」とあります。 この投資家は少なくとも従業員を全員解雇するとか、取引先を全部変えるなどという無茶苦茶なことは表明していないはずです。さらにいえば、会社の所有と経営の分離の大原則を鑑みれば、果たして経営計画も必要なのかという疑問にもつながりますが、そもそも日本の開示基準の基づいた公開情報だけで、経営計画を作成するのは神業といいますか、はっきりいって不可能です。仮に無理やり作ったところで、それはまるで現実味のないものとなることは自明です。 2005年の東京高裁が示した濫用的買収者の類型として挙げられているのは下記の4つとなります。 (1)経営参加の意思がなく、高値で株式を会社関係者に引き取らせる (2)経営に必要な知的財産、企業秘密、取引先などを買収者に移譲させる (3)会社資産を、買収者の債務の担保や弁済原資に流用する (4)不動産、有価証券などの資産を処分した利益で配当を高くし、株価をつりあげて売り抜ける (1)は典型的なグリーンメーラーを指します。さすがに今回のケースでは該当しないことは明らかです(とはいえ、こういったファンドがMBOを提案したらアウトなのか、という疑問は残ります)。(2)は競合他社が仕掛けてきたことを想定しているのでしょう。実業を伴わないこのようなファンドには原則的に該当しません(ただし究極的には同業を傘下にもつバイアウトファンドが敵対的な買収を仕掛けたら、該当する可能性もあるのかもしれません。ただし大抵のバイアウトファンドは敵対的な買収はファンドの規約上禁じられてますので、現実的にはありえないのでしょう)。(3)は本件の根拠としてはあげられてはいませんが、そもそもLBOは買収対象資産、ないしは買収対象企業のキャッシュフローに依拠したファイナンス手法です。ただし前述の通り、通常のバイアウトファンドは敵対的買収を仕掛けることはないので杞憂でしょう)。 となると、今回は(4)に該当するということでしょうか。「つりあげて」という言葉が、いかにも「仕手筋」を連想させますが、いずれにしても某ファンドがこの類型に該当すると判断させるのに十分な根拠を内包した経営計画を提出していたのか、非常に疑問です。 さて振り返ってみて、この件で一番損したのは誰でしょう。 本新株予約権の買い戻し会社にとって決して経済的に小さな負担ではないように思います。通常の設備投資のような資本的支出ではなく、少なくとも目に見えるリターンはありません。従って株式価値に与える影響は小さくありません。加えて非常に仕組みは複雑です。実際の発行実務には苦労するのではないでしょうか。また異例の仕組みであったことから、東証での取扱いも迷走しました。結局一般株主がワリを食ったように思います。 そして何よりもこのやや不透明な決定によって、ただでさえ出遅れ感のある日本の株式市場に向ける海外からの目が、一層冷めたものになりやしないか非常に心配です。 最後にこんなサイトを見つけました。 http://www.ilinkinvestment.com/quiz/q20070129.html グリーンメーラーというのは、緑の手紙ではなくて、ドル紙幣の緑の印字と、ブラックメール(脅迫状)を掛け合わせた造語というのが一般的なんですけどね。しかしこの問題文の冒頭の表現も高裁と同様に踏み込んだ表現ですね(笑)。 #
by flautebanker
| 2007-07-27 19:57
| business
2007年 06月 29日
すっかりほったらかしの本ブログですが、私自身の環境にも色々変化がありました。 詳しくは書けませんが、今一度勝負してみたいな、そんな感じです。 最近私の敬愛する先輩とも話していたのですが、思えば五年前、日系の金融機関から外資に転職するという行為自体は、そう、例えれば大きな船から(さしずめ大きな旅客船といった感じでしょうか。タイタニックとは言いませんが。。)、小さいクルーザーに飛び移るイメージでしょうか。船の大きさもクルーの人数もまさしく「メガ」旅客船とはくらべものになりませんが、一方でクルーザーには無駄なものはなく(船としてもクルーの人数も)、小回りも利くし、スピードも速かったように思います。そんなイメージでしたし、あながち外れていなかったように思います。 (ただし小さいといっても、それは日本での話であって、母船?は相当大きいですが)。 もちろんクルーにとっては厳しい環境かもしれません。人数も少ないですから、一人一人の責任は重いですし、何よりパフォーマンスが悪ければ即刻下船を命じられます(笑)。それが近くに船がいようがいまいが、夜だろうが嵐だろうがおかまいなしですから。外資の『船』なんてそんなもんです。究極的には日本航海撤退なんてこともあります。 しかしそんな私もクルーザーに移って早五年、時間というものは、『経験』を生み出し、それは換言すれば『慣れ』とも言えるでしょう。かつては死に物狂い、でも楽しく働いていた一クルーであった私も、いつしか高速クルーザーの乗組員となった当初の新鮮さを失ってしまったように感じてしまったのです。 それは転じて『恐怖』となります。つまり高速クルーザーに安閑としてしまうことで、自らのクルーとしての実力、スキルが劣化し、将来何らかの理由でクルーザーを降りなければならなくなったとき、どこのクルーザーからもお誘いがなくなってしまうのではないか。そんな切迫感みたいなものが私を『変化』へと突き動かしました。 もちろん『変化』にはリスクが伴います。昔ベストセラーになった『チーズはどこへ消えた』ではないですが、今築き上げたものを一旦捨てることは、周りから見れば愚行なのかもしれません。実際、何人かからそう言われました。ましてや外資系投資銀行という厳しい世界においてはなおさらなのかもしれません。 でも私のこんな、ともすれば極めて青臭い衝動を、いつもはお互いバカ話ばかりしている先輩ではありますが(笑)、このときは大いに賛同・共感してくれました。慣れた豪華クルーザーでブクブク太ってはいかん、と。具体的にどんな変化なのかについてはいずれ書きたいと思いますが、とにかく私はもう一歩踏み出すことにした、そんな状況なんです。 #
by flautebanker
| 2007-06-29 17:12
| diary
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アバウト
20代後半に日本の金融機関から外資系投資銀行へ転職。毎日悪戦苦闘しながらディールを追っかけていく日常を徒然なるままに。一流の金融マンへの道は遠く険しい。。。 by flautebanker カレンダー
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