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2005年 09月 26日

ファイナンスリースとバランスシート

先日の日経新聞においてファイナンスリース取引のオフバランス計上に係わる例外規定が廃止されるという記事があった。これは長年リース事業協会と企業会計基準委員会が対立をしている論点であり、果たして報道通り決着するかどうかは依然不透明ではあるものの、中長期的には委員会の目指す方向にて合意する見通しとなっている。
ファイナンスリースとは、
1)中途解約禁止
2)フルペイアウト
(リース資産物件の取得費用のほぼ全額をリース料として期間中レッシーが支払う)
を満たすリース取引を指す。要は中途解約が禁止されていることから、リース料の支払い行為はほぼ、リース資産購入代金にかかる借り入れと経済効果としては酷似している。

しかしここ日本においては所有権移転外リース(つまりリース資産の所有権はリース会社に帰属する)の例外取引として取り扱われることが多い。これにより当該リース取引は売買取引ではなく(所有権が移転していないため)賃貸借取引とされるため、レッシー(借り手)はリース物件を資産計上せず、オフバランス処理をし、当該リース取引内容を注記で開示する

しかしこのような例外規定が存在するのは世界を見渡しても日本だけであり、米国においては当然かようなリース取引は金融取引とされ(つまりリース物件は売買処理される=資産の所有権はレッシーへ移転する)、リース資産は(レッシーにおいて)資産計上される。なおリース料の支払いのうち利払い相当額は支払利息として処理される。

従ってこの例外規定が廃止されることにより、表面上の総資産が突如として増大する企業群が存在する。言うまでもなくファイナンスリースを多用している装置産業に他ならない。
日経新聞によれば、資産計上していないリース残高の多い企業として以下の企業を列挙している。金額は05年3月期のリース物件の期末残高相当額である。

JAL      3,889億円
ソフトバンク 2,040億円
ANA     1,370億円
NTTデータ  641億円
等々

前述の通り、この論点は長らくリース業界と企業会計基準委員会との間で議論されており、少し乱暴な整理をすると、本オフバランス処理のメリットを失ったときに、リースへの需要が激減すると主張する協会に対して、国際基準に平仄を合わせ、会計基準のグローバル化を目指す委員会が対立しているという構図だ。

しかしみなさんもご存知通り、いまはどのアナリストもこういった実質負債のようなリース取引についてその企業分析において負債性の取引としてみており、さらに格付機関もオンバランスベースにて格付を付与している(証券化におけるオフバランスも同様の議論だ)。

つまり本質的には金融取引であるファイナンスリースについて、本当にオフバランスされているものとして分析するプロフェッショナルはもはや存在しない、ということは広く浸透してきているように思われる。そのような背景があってか、リース協会は以前のように強行に反発していないようにもみえる(これはあまり根拠がないので、業界の方みていらっしゃったらごめんなさい)。

いずれにしても個人的には、これにより一段と会計基準の透明性が増し、そのグローバル化が進むことで日本投資の一懸念材料がなくなり、株価へのポジティブな影響も予想されることから総論としては歓迎すべきことだと思う。
(もちろんリース業界にとってはネガティブなのかもしれないが)
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by flautebanker | 2005-09-26 23:52 | business


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