投資銀行家への道

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2005年 10月 03日

事業の信託

10月2日(日)の日経新聞トップ記事は「事業の信託 可能に」という記事だった。

その内容は、現在検討が重ねられている信託法法改正案の中で、これまで「財産」に限られていた信託の対象を「債務」にまで広げる案が検討されているという。
これにより企業が一部の事業を他社に信託して運営を委ねる「事業信託」の仕組みが可能となるのこと。


私の勉強不足なのかもしれないが、この「事業信託」なるもの、何か先進的なことなんだろうか。新聞に記述されている具体例としては、

「医薬品等の多額費用がかかり、且つリスキーなビジネスについて、当該事業を負債ごと「信託」し、そのリスクを表象した受益証券を個人投資家等に販売して資金を調達。当該事業が失敗しても本体(おそらく委託者ということだろう)には損失が及ばない。

→当該事業の損失が本体に及ばないとあるが、であれば普通に考えればupsideも享受できないはず。upsideは切り離した張本人が享受し、downsideは投資家がとるなんてことはありえないからだ。ともすれば委託者は切り離した事業とは経済的にリモートな関係になるという観点において、当該事業を分割するなり、営業譲渡するなりして売却することと何が違うのだろうか。そもそも売れないような事業であるのかもしれないが(買い手がつかないという意)、「信託」という箱をかませることで投資家がつくようなものでも決してない。


「不振の事業部門の再生も他社に委託しやすくなる。電機メーカーが生産部門の一部をデジタル家電に強いメーカーに丸ごと信託し、相手先の技術などを利用した新製品の生産拠点にすることなどが想定される。」

→??? 意味不明だ。経営の放棄?それはともかく、技術提携、もしくは部門売却で済む話だし、信託の利用メリットはないように思える。さらにいえば優良企業が不振事業を切り離す際、そこに道連れとなる債権者はたまったものではない。
(会社分割と同じ議論ではあるが)


実際の法制審議会の試案を見ずに書いているので、正しく理解していない可能性が高い。本当はもっと真っ当な議論なんであろう。米国のように、比較的簡易的な手続きでセットアップでき、税務的に恩恵が受けられる(原則パススルー課税)ようなものを目指しているのであれば納得。ただいずれにしても開示上の問題、会計の取り扱いなど課題は山積みだろう。

証券化の器として、はたまた映画製作、油田開発などの複数stakeholderがjointで投資する、且つ有期限の事業などには有用であろう。こういった事例ならまだ理解できるのだが。
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by flautebanker | 2005-10-03 22:43 | business


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