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2005年 11月 21日
最近同業で不動産に関わっている人達と話す機会が何度かありました。米国の住宅価格の一本槍の上昇トレンドは若干一服しているように思いますが、ここ日本の不動産価格の上昇には目を見張るものがあります。その上昇トレンドがいわゆる「バブル」なのか、というトピックがよく話題になります。様々な意見がありますが、私なりに考えてみると、まずは「バブル」とは?というところから始める必要があると考えます。経済学的な見地に立てば「バブル」とは、資産価格の変動における「ファンダメンタルズ」(基礎的条件)では説明のつかないもの、ということでしょうか。となればファンダメンタルズとは何か?という定義がさらに必要になりますが、これはなかなか難しいですね。一般的にはGDP成長率、インフレ率、失業率、国際収支などでしょう。私は経済学者でもなんでもないので、ここでの「バブル」とは「モノの価値が実体経済よりも大きくかけ離れて上昇すること」という程度にしておきましょう。 さて翻って日本の不動産価格はどうでしょう。果たしてマスコミや人々が言うようにバブルなんでしょうか?ある意味遅行指標ともいえる基準価格は、東京23区で15年ぶりに上昇に転じたことから、足元の都内の物件の過熱感は相当なものであると言えるでしょう。マスコミは盛んに不動産バブル云々と報道してますが、結論から言うと私個人的には現状のマーケットは「バブルではない」と考えます。といいつつもマーケットが過熱しているのは事実で、さらに過熱感が非常に不確実な要素を前提にしていることから、やはり調整局面が近い将来訪れるであろうと言わざるをえません。現場の人達の話はもとより、J-REITの目論見書等をみても、都心の物件の利回り低下には著しいものがあります。Cap rate(注:下記ご参照)ベースで3%台に突入している物件も散見され、驚くばかりです。しかし「利回り」とは安全資産利率に当該投資対象資産の内包するリスクを表象するプレミアムを加えたものです。従って実需も含めた需要が旺盛なマーケットにおいて、不動産の流動性が増すことによる流動性プレミアムの漸減には一定の合理性があるといえます。もちろんその絶対的な水準には色々思うところはありますが。利回り(4-5%)、資金コスト(2%程度でしょうか)の間に利鞘が存在する以上、少なくとも不動産エクイティ投資家はリターンを得ていることになりますし、これを「バブル」と呼ぶには少々無理があるでしょう。逆にいえば、利回りと資金コストの差が負の値である場合は、その投資家は完全にキャピタルゲインを前提としていることとなり、かような投資行動によって形成されるマーケットはまさに「バブル」であると考えます。 ただここで一つ気になるのは、これだけ不動産物件の投資利回りが低下しているにもかかわらず、不動産ファンドへの投資熱は依然として高水準であり、さらにその利回りも物件の投資利回りの低下ほどの影響を受けていないように感じることです。これはまさに「レバレッジの恩恵」であるといえるでしょう。全国的なOver Capitalizationを背景とした銀行のアグレッシブな融資姿勢は利率を引き下げるのに留まらず、LTV(担保比率)を急激に押し上げてます。不動産ファンドの方曰く、LTV80%-90%なんていうのはザラで、最近ではLTV100%を超えるものもあるとか。完全に経済合理性を欠いているといわざるを得ません(LTV100%のdebtとはエクイティと同じリスクを取りながら、up-sideを放棄することになります。あり得ないですね)。この現象はレンダー側のvaluationにちょっとしたバブルが存在しているわけで、若干危険な状況であるといえます。これが現在の不動産マーケットの過熱感を演出する危うい要素の正体であると考えます。これに加えて、エクイティ投資家の金利見通しが依然としてゼロ金利を前提にしているのも実に不安定な状況です。前述の通り物件利回りを仮に3%台とし、資金コストを2%とすると、その利鞘はわずか1-2%であり、金利の上昇クッションとしてはないに等しいです。さすがに米国のようなインタレスト・オンリーローン(IOローン)が日本で売られることはないでしょうけど、いずれにしても現在の本邦不動産マーケットの「過熱感」はレンダーによって演出されているといっても言い過ぎではないと思います。 注:Cap Rate (キャップレート)=NOI(償却前税引前営業利益) / 不動産価格 by flautebanker | 2005-11-21 22:14 | business
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