投資銀行家への道

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2005年 08月 06日

信用スプレッド~非効率的市場?~

みずほと三菱東京Gの劣後債のスプレッドが逆転した(みずほの方がタイトでプライシング)されたという記事があった。メガバンクの優勝劣敗の動向について語る気はないものの、信用スプレッドで思い出した。
何年か前に依然としてメガバンクが不良債権の重しに苦慮している頃、CDS市場でみずほのデフォルト・プロテクション(言ってみれば保険みたいなものです)のプレミアム(要は保険料みたいなものです)が3桁台で推移していた時期がありました。一般的な5年だとすれば、換言すればCDSの投資家は5年間のみずほの倒産リスクに対して1%を大幅に超えるプレミアム(保険料)要求していたことになる。これはまぁ当時の状況を考えればもっともな話であったわけです。ん?でもちょっと冷静に考えてみると、ものすごくおかしな話ともなります。当時みずほの倒産リスクをとっていたのは何もCDS市場におけるプロの投資家だけではありません。
そう、それは預金者です。厳密にいえば、当時はペイオフによって銀行預金は全額政府保障でしたから、ある種日本国のソブリンリスクであったわけですが(つまり金融で言うところの安全資産)、当時の1千万円を超える、「5年定期」は満期時にはペイオフ解禁が予定されていたことから、みずほの倒産リスクをとっている行為にかなり近いことになります。
(つまり満期時には政府は守ってくれない)

ところが、その定期預金の利率は確か0.3-4%くらいであったように思います。つまりほとんど同じリスクでありながら*、CDSの投資家は1%を大きく超えるリターンを得られる一方で、5年定期の預金者はATMの利用手数料で吹っ飛んでしまうような利息しかもらえなかったわけです(すいません、表現が民衆を煽るような表現を好むマスコミのようで。。。)。

いかに市場が非効率であるかを垣間見た瞬間でした。

*もちろんCDSにおけるdefalut eventの定義と預金契約における期限の利益喪失事項には差異がありますし、金額規模や、実務的に解約可能な定期預金、と色々違いはあるわけですが、それでも1%前後の差というのはやはりおかしな状況であったといわざるを得ません。
さらにいえば、預金は譲渡不可、つまり流動性がないわけですから比較的流動性のあるCDSとの差は数字以上にあることになります。
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by flautebanker | 2005-08-06 22:56 | business


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