投資銀行家への道

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2005年 12月 23日 ( 1 )


2005年 12月 23日

Div Recap --日本の金融マーケットの成熟スピード--

Dividend Recapという単語をご存知でしょうか?
Buyout Fundは会社(事業)を買収した後に、その性格上当然投資元本を回収する必要があります。これを投資の「Exit」といいますが(日本では「出口」。そのままの直訳ですね)、その手法はこれまで大まかにいって2つしかありませんでした。

e0040531_2303794.jpg一つはM&Aによる会社の売却。Strategic Saleとも言います。この際の買い手は一般事業会社のケースが多いですが、別の投資ファンドへの転売も当然ありえます(日本でもいくつか事例がでてきました)。そしてもう一つはIPO(株式公開)をはじめとする資本市場からの資金調達手段です(買収した企業を非上場化しない場合もあります。その際には株式の売り出しによって資金を回収することも一般的ではあります)。

そして最近この2つの手法に加えてここ数年US Marketでトレンドになっているのが、Dividend Recapとよばれる手法です。簡単にいえば投資実行後に買収対象会社(Target Company)の借入を増やすような資本構成(Capital Structure)の変更を実施し、(借入増による)調達資金によって配当を支払い(ないしは自己株式の買入)、株主たる投資ファンドが当初の投下資本を回収する手法です。大掛かりなM&A、IPOとの比較感でいくと、時間、コスト共に投資ファンドにfriendlyであるといえます。また資本超過にあるBank Marketにとっても絶好のlending opportunityとして捉えられてます。

ただ最近ではこういったdealがあまりにも多いため、投資ファンドによって買収された企業のdebtがDividend Recapの実施によるdebt増観測のもと、価格が下落する(利回りは向上)動きもあったりします。

さて下のFTの記事はUSのみならずEuro marketにおいてもこのDividend Recapが増加しているという趣旨のarticleです。

e0040531_2314384.jpg私のいたって個人的な感覚によれば、日本の金融マーケットはLondonを中心とするヨーロッパのマーケットの3-5年遅れのペースで発展していっているように思います。またUSとEuropeのトレンドのギャップは1-2年というところでしょうか。

依然として間接金融の比重が高く、資本市場が欧米ほど発達していない日本においては、このDividend Recap取引が非常にfitする環境にあるといえます。ここ数年本邦マーケットにおいてもBuyout Fundによる買収案件は激増しておりますが、数年後このDividend Recap取引が増えていくことについて疑いの余地はないでしょう。

FT記事
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by flautebanker | 2005-12-23 22:43 | business