投資銀行家への道

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カテゴリ:business( 29 )


2006年 01月 16日

4年周期?~W杯Yearに何かが起こる!?~

e0040531_1173882.jpg前にオフィスで話していたトピックが、「ワールドカップの年には必ず何かが起きている」という話。振り返ってみると、確かに何かが起きてます。それもnegativeな事象ばかりです。
1990年、この年はイタリアでW杯が開催され、西ドイツが優勝した年です。言わずもがなこの年はバブル崩壊の年であり、前年の大納会で日経平均は最高値38,915円87銭をマークしたののをピークに、翌90年3月に大蔵省から「土地関連融資の抑制について」(所謂「総量規制」)が通達され、この人為的な急ブレーキが自然な景気後退を加速、ついにはバブルが崩壊しました。

そしてその4年後の94年。W杯はアメリカで開催され、ブラジルが優勝しています。この年、アメリカにおける急激な利上げが実施されました。92年9月から94年の2月まで17ヶ月間FFレートを3.0%に据え置いた後、その後2ヵ月半の間に0.75%引き上げ、最終的には1年後の95年2月までに合計3%も金利を引き上げました。この結果、当時最も心配されていたインフレは完全に押さえ込まれましたが、経済成長も減速しました。為替にも影響し、翌年円ドルは80円を切り、メキシコ・ペソが暴騰。ついにはメキシコ危機まで引き起こされる結果となります。各投資銀行の債券部門(Fixed Income)は一様に大打撃を被りました。

98年。フランスW杯。日本初出場のW杯ですね。この年はロシア危機に端を発した金融危機がマネーの質への逃避を促し、クレジット市場が機能しなくなりました。ヘッジファンドのLTCMが破綻したのもこの年です。これにより多くのBank、Investment Bankがまたもや大打撃を被りました。

そして2002年。98年の金融危機からネットバブル、ITバブルをはさみ、金融市場が危機を迎えます。そう、2001年の9月11日のテロによえい株式市場が停滞している中で、エンロン、ワールドコム(旧MCI)の破綻により資本市場はまた機能しなくなります。マネーは4年前と同様、質への逃避が顕著となりました。この年の投資銀行の収益の落ち込みは激しく、リストラも過酷なものでありました。Wall Street、Cityはもちろんのこと、東京でも同様でした。ちなみに書くまでもないですが、W杯は韓国・日本の共同開催でした。

そして2006年。ドイツW杯。
何が起こるのでしょうか。米国住宅バブルの崩壊?大手自動車メーカーの破綻によるクレジットクランチ?それとも・・・?
答えは12ヶ月以内に出ます。
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by flautebanker | 2006-01-16 01:56 | business
2006年 01月 10日

Deal Toy

昨年クローズした案件の"deal toy"が届きました。
これはdealの記念に関係者に配られるトロフィーのようなもので、ファイナンスの案件の場合、dealの名称(加えてnicknameなどあれば)、そして我々アンダーライターのロゴが一番目立つところに鎮座し(笑)、発行体・債務者、総額、クロージング日などが記載されており、大抵はその発行体にちなんだ絵柄や模型の形をしています。その形になぞられて"tombstone"(墓碑)と呼ぶこともあります。今回いただいたのは透明アクリル製のシンプルな直方体で、まさに「墓碑」といった風情ですが、結構変わったものもあります。よく見かけるのは航空機ファイナンス系の飛行機の模型タイプでしょうか。

このdeal toy、たががtoyですが、何か目に見えるものを作り出す仕事と違って、私達の金融の仕事は何かdealをやり遂げても大抵の場合何も物理的には残りません。例えば新商品を開発するとか、何かを販売するとか、作るとか、建てるとか。そういえば私が駆け出しの銀行マンだったとき、とあるお客さんの保有する土地の有効活用として、マンション建築の購入資金を融資したことがありましたが、そのマンションは今の通勤経路途中にあるので、通るたびにちょっと自分の仕事の足跡のように思えて、誇らしい気分になったりします。
(もっとも色んな面で辛かった銀行員時代を思い出すのに充分なモニュメントでもあるわけですが・・・)

Investment Bankingの仕事を始めて何年かたちますが、Deat Toyもだいぶ増えてきました。ただそんなToyを眺めて感傷に浸ったりするのはもっと先になるでしょう。たくさんのDeal Toyを誇らしげに自分のオフィスに飾れる日がいつか来ることを信じて、今はdealに邁進する毎日です。
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by flautebanker | 2006-01-10 23:18 | business
2006年 01月 05日

FIG

皆様、あけましておめでとうございます。
本年も本ブログをよろしくお願いいたします。

e0040531_1325091.jpgそういえばこの新年、また合併によって新たなメガ金融機関が誕生しました。
思えば、かつて大手金融機関と称される企業体は23もありましたが、所謂「金融ビッグバン」を経て、その数は今やもう8。
このような大規模且つドラスティックな改革が実施された業界はありません。とかく物事の決断のかかるスピード感に乏しいとされる日本ですが、この金融機関再編にかかる改革の歩みは結果的にはグローバル対比においても遜色ないペースだったのではないでしょうか。

また好調な株式相場をリードするような格好で、銀行株はここ数ヶ月で飛躍的に上昇しました。が、足元の業績をよく見てみると、貸出Exposureの増加を牽引しているのは不動産関連であり、一般法人向けexposureはさほど増加していません(もちろんシンジケートローン等の活用によりむやみに貸出金残高を積み上げる運営はもはやしていないという事情もあるでしょう)。また貸出金にかかる利鞘も銀行間の競争激化による低下傾向は止まっておらず、またそれを補うだけの手数料収入が伸びているかというと、それほどまでの力強さはありません。

従って世間で言われているように銀行が完全に復活したというには若干時期尚早で、今まさにスタートラインに着いたところであると思います。
今後、証券取引法65条の課題(いわゆる銀・証の融合)、郵貯を含めた政府系金融機関の再編・民営化等、これからが金融再編の第2幕といえるのではないでしょうか。

こうしてみるとFIG (Financial Institutions Group=金融機関を担当するBankerのチームをこう呼称します)のbusiness opportunityはまだまだ豊富であり、引き続きhotなsectorであることに疑いの余地はないと思います。
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by flautebanker | 2006-01-05 01:33 | business
2005年 12月 31日

誰が予想できたでしょう

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今年1年はこんな感じでした。でもまだまだです。

だって過去10年ではこんなもんですから。
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来年も良い年になりますように。
Wish you a very happy new year 2006.
皆様来年もよろしくお願いいたします。
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by flautebanker | 2005-12-31 00:23 | business
2005年 12月 31日

「六本木」の意味するところ

そういえば先日こんな報道がありました。

===============
みずほ証券誤発注、無職27歳が20億円大もうけ
みずほ証券が総合人材サービス業ジェイコム(マザーズ市場)の株式に誤って大量の売り注文を出した問題で、千葉県市川市に住む無職で27歳の個人投資家が、誤発注に応じて同社株を最大7100株取得し、約20億3500万円の利益を得ていたことが16日、関東財務局に提出された大量保有報告書で明らかになった。
 報告書によると、この個人投資家は12月8日に7100株を取得し、その日のうちに1100株を市場で売却した。その結果、ジェイコム株の発行済み株式総数の41・38%にあたる6000株が残り、13日の決済日に株券の代わりに現金の支払いを受けて決済した。
 これまでに、東京・六本木に住む24歳の会社役員の個人投資家も約5億6000万円の利益を得たことが分かっている。
================

注目していただきたいのは、「東京・六本木に住む24歳の会社役員・・」というくだり。
そもそも個人投資家の所在地にニュースバリューなどないはずですよね。
あえて「港区」とはせずに、「六本木」と明記しているところにマスコミのバイアスを感じますね。

e0040531_072533.jpgこの1年、六本木ヒルズをベースとする会社が様々な局面で注目されました。そしてこの2005年は大買収時代の到来とか、M&A元年だと盛んに報道されてます。もちろんこれに反論する気はないですが、ただ冷静に考えてみると何かものすごく先進的なことが起きたのではなく、日本企業が株式市場に真剣に向き合い始めたということに過ぎません。

しかしそんな姿勢は、時に「合理的」そしてある種「冷徹な」ものとして捉えられているように思います。
「買収する方が勝者で、買収されるほうは敗者」
こんな感覚が少なくともマスコミにはまだ残っているように思います。そしてマスコミはその勝者を手放しで賞賛することはしません。少し「下品」なものとして扱っているように思います。言い方は悪いですが、「金儲けの権化」のような捉え方でしょうか。そしてマスコミの言うところのこのような「勝者」は「六本木」ヒルズ族に象徴される人々なんでしょう。

この何気ない「六本木に住む」というフレーズを滑り込ませるマスコミに、そんなスタンスを感じるのは私だけでしょうか。
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by flautebanker | 2005-12-31 00:08 | business
2005年 12月 23日

Div Recap --日本の金融マーケットの成熟スピード--

Dividend Recapという単語をご存知でしょうか?
Buyout Fundは会社(事業)を買収した後に、その性格上当然投資元本を回収する必要があります。これを投資の「Exit」といいますが(日本では「出口」。そのままの直訳ですね)、その手法はこれまで大まかにいって2つしかありませんでした。

e0040531_2303794.jpg一つはM&Aによる会社の売却。Strategic Saleとも言います。この際の買い手は一般事業会社のケースが多いですが、別の投資ファンドへの転売も当然ありえます(日本でもいくつか事例がでてきました)。そしてもう一つはIPO(株式公開)をはじめとする資本市場からの資金調達手段です(買収した企業を非上場化しない場合もあります。その際には株式の売り出しによって資金を回収することも一般的ではあります)。

そして最近この2つの手法に加えてここ数年US Marketでトレンドになっているのが、Dividend Recapとよばれる手法です。簡単にいえば投資実行後に買収対象会社(Target Company)の借入を増やすような資本構成(Capital Structure)の変更を実施し、(借入増による)調達資金によって配当を支払い(ないしは自己株式の買入)、株主たる投資ファンドが当初の投下資本を回収する手法です。大掛かりなM&A、IPOとの比較感でいくと、時間、コスト共に投資ファンドにfriendlyであるといえます。また資本超過にあるBank Marketにとっても絶好のlending opportunityとして捉えられてます。

ただ最近ではこういったdealがあまりにも多いため、投資ファンドによって買収された企業のdebtがDividend Recapの実施によるdebt増観測のもと、価格が下落する(利回りは向上)動きもあったりします。

さて下のFTの記事はUSのみならずEuro marketにおいてもこのDividend Recapが増加しているという趣旨のarticleです。

e0040531_2314384.jpg私のいたって個人的な感覚によれば、日本の金融マーケットはLondonを中心とするヨーロッパのマーケットの3-5年遅れのペースで発展していっているように思います。またUSとEuropeのトレンドのギャップは1-2年というところでしょうか。

依然として間接金融の比重が高く、資本市場が欧米ほど発達していない日本においては、このDividend Recap取引が非常にfitする環境にあるといえます。ここ数年本邦マーケットにおいてもBuyout Fundによる買収案件は激増しておりますが、数年後このDividend Recap取引が増えていくことについて疑いの余地はないでしょう。

FT記事
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by flautebanker | 2005-12-23 22:43 | business
2005年 12月 11日

banker向きな人?

e0040531_241233.jpgとある学生に、
「金融に向いている人はどんな人ですか?」
と聞かれ、回答に詰まってしまいました。難しい質問ですよね。そもそも自分が金融に向いているのかもかなり疑問ですし。というわけで自分なりに考えてみました。
一口に「金融」といっても様々なフィールドがあるわけで、それを一纏めに論じるのは無理でがあります。というわけで自分が従事している投資銀行の仕事について考えてみました。ちなみにここでいう「投資銀行」とはFixed IncomeやEquity部門のSales & Trading業務は含まず、いわゆるBankingの仕事を前提とします。

まずこれは投資銀行に限った話ではないですが、論理的思考能力は大事ですね。我々の仕事の目的は究極的にはClientの企業価値を向上させることにあります。そんなシンプルなTaskであることの裏返しとして、それに至るまでの選択肢は無限にあります。Clientの問題点の想起、ニーズの捕捉、これらを踏まえたClientへの提案(そしてそれにかかる膨大な準備)、そしてdealのExecution。それに加えて、社内resourceの確保、効率的なprocessing(他dealとの同時進行)が求められるわけで、これには相当な現状認識能力プラス論理的なマインドが必要であることは言うまでもありません。ちなみにこういうマインドのある人は(これはまったくの私の個人的な意見ですが)数学が得意な人であるような気がします。ちょっと違うな「算数」ですかね。いかがでしょう?

e0040531_2423882.jpg投資銀行の商売はあくまで客商売です。従ってその多寡はともかく、どんなセクション、ポジション(駆け出しのアナリストでも、日本においては割とClientに接する機会があるように思います)にあっても顧客と対峙せざるをえません。ですから、これも当たり前の話かもしれませんがコミュニケーション能力は極めて重要ですね。Clientに会ってなんぼのBankerはなおさらです。やはりデキるBankerの方々はどことなく人間的に魅力的な人達で、社内であっても話していると自然と引き込まれてしまいます。もっとも社内の人くらい惹きつけられないと、Clientなんかついてくるわけないですよね。

もちろんこれは信頼感が前提となっているのでしょうけど、加えてこういう人は物事を効率的且つ効果的に伝えられる人であるように思います。
私が社会人駆け出しのころの先輩で、いつも課長に怒られている人がいました。そんな彼がある日課長にこんな説教をされてました。
「キミの話は長すぎる。しかも結論がなかなか出てこない。例えて言うなれば、私は野球の試合の結果を聞いているのに、キミは1回表から説明しようとする。それでは困るんだ」
まぁ正直この課長の能力もいかがなものかと思ってた私ではありますが、このときばかりは100%同意でした。

e0040531_247746.jpgまだあります。それは「知的好奇心」でしょう。投資銀行の仕事の大きな骨格は何十年と変わってませんが、Clientのneeds、取り巻く環境(経済・法律・会計等々)は日々刻々と変化しています。となれば我々も常にflexibilityを意識せざるをえず、常日頃新しい知識装備を心掛け、様々な情報をキャッチすべくアンテナを張ってないといけません。要は常に勉強しないといけないわけですが、人間、嫌な事は続けられませんよね。
だから「好き」でないといけないわけです。好奇心。

最後に、、、、、お分かりですよね。はい、「体力」です。No doubtです。

なんか読み返してみると「bankerに合っている人」というよりも、自分のあるべき像、理想像になってしまいましたね。あ、それと利益を追い求めるgreedinessは持っていて当たり前という前提です(笑)。

だって狩猟民族ですから。。。。
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by flautebanker | 2005-12-11 01:21 | business
2005年 11月 24日

黄金株と上場企業

e0040531_23321831.jpg上場企業がいわゆる黄金株を導入することに関して東京証券取引所が原則禁止する方針を打ち出したことについて、それに関する与謝野経済財政・金融担当相の発言が物議をかもしているようです。

ニュースは以下のように報じてます。
『与謝野金融相は22日の閣議後会見で、合併や経営統合などの重要な決議を拒否できる黄金株(拒否権付き株式)の発行を、東京証券取引所が原則禁止する方向を固めたことについて「会社法で認められていることを東証の上場基準で否定することは、理屈の問題としてはあり得ない」と、東証の方針に反対し、黄金株を容認する方針を示した。』

これに対し、批判的なブログのエントリーが散見されます。例えばマネックスの松本社長のblogにおいても痛烈に批判されていたりします。
http://ameblo.jp/monex-oki/entry-10006383355.html#tbox

e0040531_23463620.jpgしかしながらもう少し大臣の発言を調べてみると、彼の発言には一定の合理性があると私は考えます。つまり大臣は頭ごなしに、上場企業であろうとなんだろうと会社法で定めている限り、黄金株の発行は可能である、という近視眼的に発言しているわけでは決してなく、黄金株の濫用が、

「企業の勝手で黄金株を創設するとすれば他の株主の議決権を著しく狭める。それは許されないこと」
とことわった上で、
「黄金株を持った会社が新しく上場するということは広く株主が知っている事実であるから、そういうことをもって上場基準に外れるということは会社法で認めている株式の種類を上場基準によって狭める」
と発言しています。

つまり大臣の発言は、東証は一証券取引所に過ぎないとはいえ、代替される取引所がない以上、その硬直的な方針が、事実上本邦大会社へのデファクト・スタンダードとなり、かような種類株の発行の柔軟性を明文化した会社法が形骸化してしまう、という趣旨であったんだと思います。これが本意であれば、納得感があるのではないでしょうか。

改正会社法の施行を控え、そしてコーポレートガバナンスのあり方について真剣な議論がなされ始めた中で、確かに東証の方針は若干硬直的であるように思います。かような黄金株の効力の濫用への牽制機能、そして言わずもがな既存株主の了解、そして当該株式の発行が企業価値の極大化に資するというストーリーがあれば、後はマーケットがその是非を決めるのではないでしょうか?少なくとも取引所が入口から禁止するような類の議論ではないように思いますが、皆さんいかがでしょうか?松本社長の意見も伺いたいところですが・・・・。
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by flautebanker | 2005-11-24 23:58 | business
2005年 11月 21日

不動産価格はバブルか?

e0040531_12213727.jpg最近同業で不動産に関わっている人達と話す機会が何度かありました。米国の住宅価格の一本槍の上昇トレンドは若干一服しているように思いますが、ここ日本の不動産価格の上昇には目を見張るものがあります。その上昇トレンドがいわゆる「バブル」なのか、というトピックがよく話題になります。
様々な意見がありますが、私なりに考えてみると、まずは「バブル」とは?というところから始める必要があると考えます。経済学的な見地に立てば「バブル」とは、資産価格の変動における「ファンダメンタルズ」(基礎的条件)では説明のつかないもの、ということでしょうか。となればファンダメンタルズとは何か?という定義がさらに必要になりますが、これはなかなか難しいですね。一般的にはGDP成長率、インフレ率、失業率、国際収支などでしょう。私は経済学者でもなんでもないので、ここでの「バブル」とは「モノの価値が実体経済よりも大きくかけ離れて上昇すること」という程度にしておきましょう。

e0040531_14455798.jpgさて翻って日本の不動産価格はどうでしょう。果たしてマスコミや人々が言うようにバブルなんでしょうか?ある意味遅行指標ともいえる基準価格は、東京23区で15年ぶりに上昇に転じたことから、足元の都内の物件の過熱感は相当なものであると言えるでしょう。マスコミは盛んに不動産バブル云々と報道してますが、結論から言うと私個人的には現状のマーケットは「バブルではない」と考えます。といいつつもマーケットが過熱しているのは事実で、さらに過熱感が非常に不確実な要素を前提にしていることから、やはり調整局面が近い将来訪れるであろうと言わざるをえません。


現場の人達の話はもとより、J-REITの目論見書等をみても、都心の物件の利回り低下には著しいものがあります。Cap rate(注:下記ご参照)ベースで3%台に突入している物件も散見され、驚くばかりです。しかし「利回り」とは安全資産利率に当該投資対象資産の内包するリスクを表象するプレミアムを加えたものです。従って実需も含めた需要が旺盛なマーケットにおいて、不動産の流動性が増すことによる流動性プレミアムの漸減には一定の合理性があるといえます。もちろんその絶対的な水準には色々思うところはありますが。利回り(4-5%)、資金コスト(2%程度でしょうか)の間に利鞘が存在する以上、少なくとも不動産エクイティ投資家はリターンを得ていることになりますし、これを「バブル」と呼ぶには少々無理があるでしょう。逆にいえば、利回りと資金コストの差が負の値である場合は、その投資家は完全にキャピタルゲインを前提としていることとなり、かような投資行動によって形成されるマーケットはまさに「バブル」であると考えます。

e0040531_0594926.jpgただここで一つ気になるのは、これだけ不動産物件の投資利回りが低下しているにもかかわらず、不動産ファンドへの投資熱は依然として高水準であり、さらにその利回りも物件の投資利回りの低下ほどの影響を受けていないように感じることです。これはまさに「レバレッジの恩恵」であるといえるでしょう。全国的なOver Capitalizationを背景とした銀行のアグレッシブな融資姿勢は利率を引き下げるのに留まらず、LTV(担保比率)を急激に押し上げてます。不動産ファンドの方曰く、LTV80%-90%なんていうのはザラで、最近ではLTV100%を超えるものもあるとか。完全に経済合理性を欠いているといわざるを得ません(LTV100%のdebtとはエクイティと同じリスクを取りながら、up-sideを放棄することになります。あり得ないですね)。この現象はレンダー側のvaluationにちょっとしたバブルが存在しているわけで、若干危険な状況であるといえます。これが現在の不動産マーケットの過熱感を演出する危うい要素の正体であると考えます。

これに加えて、エクイティ投資家の金利見通しが依然としてゼロ金利を前提にしているのも実に不安定な状況です。前述の通り物件利回りを仮に3%台とし、資金コストを2%とすると、その利鞘はわずか1-2%であり、金利の上昇クッションとしてはないに等しいです。さすがに米国のようなインタレスト・オンリーローン(IOローン)が日本で売られることはないでしょうけど、いずれにしても現在の本邦不動産マーケットの「過熱感」はレンダーによって演出されているといっても言い過ぎではないと思います。


注:Cap Rate (キャップレート)=NOI(償却前税引前営業利益) / 不動産価格
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by flautebanker | 2005-11-21 22:14 | business
2005年 10月 17日

dealと報道

新聞記者は金融のプロではない。だから多少思い違いのところがあっても仕方ない。
特にストラクチャード・ファイナンスの分野など、非常に内容も専門的だし、内容も複雑だ。多少の事実との相違についてどうこう言う気はない。

しかし「会社とは?」という大命題の本質に迫る案件が続々と発表されている中、日本でもこういうことが起きるようになったかとしみじみ思う一方で、言葉は悪いがマスコミのレベルの低さが目に付く。

ここ数日メディアを騒がせている案件の報道を見ていてもそれを痛感する。
特に登場人物が上場企業である場合、その公式な発表の持つ重みについて、どうにも理解されていないような気がしてならない。
上場企業のトップの発言は法リスクを背負っている発言であって、それに対してメディアが「事実と異なるのでは」という類の意見を平気で唱えているのはどう考えてもおかしい。
トップが事実と異なる発表をしていたら証取法違反だ。となればマスコミはもっと公式な発表を読み解き、その裏にある背景を分析する報道をすべきだと思う。
もっとも新聞もニュース番組も、なんだかワイドショー的な演出がされている現在、最早それを求めるのことはナンセンスなんだろうか。
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by flautebanker | 2005-10-17 00:03 | business