投資銀行家への道

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2008年 01月 30日

過保護ニッポン

昨年を総括する漢字は「偽」だったそうですが、とにかく食品を始めとする「偽装」が話題の中心であった1年ではありました。しかしながら個人的にはとても違和感があります。
というのも賞味期限がちょっと過ぎていたことが、そんなに悪いことなのでしょうか?
これほどまでにバッシングされるほどのことなのでしょうか。もちろん相当悪質な偽装がありましたので、それらすべてを一纏めにすることは幾分乱暴な議論にはなりますが、いずれにしてもこのムード、マスコミの報道も含めて少々行き過ぎの感は否めません。なんというかものすごく「過保護」な感じがするのです。子供を心配するあまり、学校などに理不尽な要求を繰り返す「モンスターペアレント」のような感覚でしょうか。
この行き過ぎ感、「過保護」感はこの食品偽装問題にとどまりません。


まずは「金融商品取引法」でしょうか。
金融マーケットの健全性と投資家保護強化を狙いに、証券取引法から生まれ変わった法律です。ところが投資家保護を尊重するあまり、正直投資家を小バカにしているかのような規制が満載となってしまいました。結果として金融業者(証券会社等)・投資家双方に過大な事務手続負担だけを残すような結果となりつつあります。投資にはリスクがつきものです。この法律が定めるがごとく、何か形式的に説明・書類提出を求めれば万事OKという問題ではないでしょう。投資家が真剣に商品を理解・分析をしたうえで投資を実行していく。その過程の中で失敗もあることでしょう。ただそのような経験を元に投資スキルが向上していくのではないかと。他方売るほうとしての金融業者は、プロフェッショナルなモラルを維持していくことで成り立つのではないでしょうか。どんなに法律で定めても、悪意があれば抜け穴を探すことに注力するでしょうから。ですから最低限の制度に、厳罰をセットにするほうがあるべき姿なのではないかと思ってしまうわけです。

消費者金融における上限金利引下げの議論も同様です。これまでの29.2%から15~18%に下がるわけですが、借り手はこれまで29.2%と知らずに借りてきたわけではなく、納得の上でしょう。現に米国では州によっては未だに30%を超える金利を容認しているところもあります(一方で一桁パーセントという上限金利を設定している州もありますが)。もちろん激しい回収による悲惨な事例が多いのも事実です。とはいえ、上限金利を引き下げることで国民の利益に資するという政府の主張には、多分にプロパガンダ的な要素を感じますし、何よりもビジネスとして成立している消費者金融業がまるで社会悪のような考え方は、私には「過保護」な印象を与えるのです。


最近はさすがに見直されていますが、ゆとり教育なんていうのも同様です。このように「過保護ニッポン」の事例には枚挙に暇がありませんが、この問題は突き詰めていくと「格差社会」を容認するか否かという大命題にたどり着くような気がします。格差社会をはっきりと容認する立場をとった小泉前首相以降は、選挙を意識してか、政府は最近軌道修正をしてきています。もはや経済的には先進国ではないという声が出ているくらい元気がなく、国際社会での存在感がますます薄れつつあるニッポンですが、今一度、国としてどういう方向に進んでいくのか、そのグランドデザインを見直す必要があるように思います。


ただこんな過保護なニッポンですが、これも日本人の美徳なのかもしれません。さらに言えば、あの某食肉加工業者は論外ですが、某老舗菓子メーカー、本当は「まだ食べられるのに勿体ない」なんていう日本人独特の美意識が深層心理としてあったのではないかとも思ってしまうのです。
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by flautebanker | 2008-01-30 11:28 | diary