2006年 07月 21日
認知症の母殺害に執行猶予 京都地裁判決 介護疲れと生活苦から認知症の母親=当時(86)=を合意の上で殺害したとして、承諾殺人罪などに問われた無職片桐康晴被告(54)に、京都地裁は21日、懲役2年6月、執行猶予3年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。 東尾龍一裁判官は判決理由で「毎日のように昼夜介護していた苦しみや悩み、絶望感は言葉では言い尽くせないものがあった」と述べ、献身的な介護の状況から「命の尊さへの理解が被告に欠けていたとは断定できない」と判断した。 また被害者の心情について「献身的な介護を受け、最後は思い出のある京都市内を案内してもらうなど、被告に感謝こそすれ、恨みを抱くことはないと推察される」と指摘。「命を奪った結果は取り返しがつかず重大だが、経緯や被害者の心情を思うと、社会で生活する中で冥福を祈らせることが相当」と、執行猶予の理由を説明した。 なんとも切ないニュースです。仕事中、思わず手が止まって涙ぐんでしまいました。自分もまったく無関係ではない境遇にあるので、なおさらです。 片桐さん(あえて「被告」とは呼びません)は裁判中、「将来に絶望し、一緒に死ぬしかなかった」などと経済的に追い詰められた様子を語ったそうです。犯行直前、片桐さんは泣きながら「もう金がない」と語りかけると、母親は、「泣かなくていい」と被告の頭をなでたといいます。 この母親は、去年4月ごろから症状が悪化し、昼夜が逆転。付近を徘徊するようになったそうで、結果的に片桐さんは仕事をやめざるをえなくなり、経済的に追い詰められました。そんな中片桐さんは、区役所に3度相談したそうですが実質的に無視に近く、絶望したそうです。検察は「制度について勉強しなかったのか?」と聞いたそうですが、「介護に明け暮れてそんな余裕はなかった」と片桐さんは答えました。そりゃそうでしょう。 また片桐さんは経済的な制約から母親の食事を優先し、自分は2日に1回の食事だったとも語りました。もちろんどんな理由であれ、殺人は許されません。では片桐さんが加害者かと言われれば、それも違うような気がします。ではこのような在宅介護の現場から発せられるSOSを受け止められなかった行政が加害者なんでしょうか。 最後に、片桐さんはこうも語ったそうです。 「母の命を奪ったが、もう一度母の子に生まれたい」
by flautebanker
| 2006-07-21 11:39
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アバウト
20代後半に日本の金融機関から外資系投資銀行へ転職。毎日悪戦苦闘しながらディールを追っかけていく日常を徒然なるままに。一流の金融マンへの道は遠く険しい。。。 by flautebanker カレンダー
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