2005年 09月 13日
みなさんはロストロポーヴィチという音楽家をご存知だろうか? 彼はおそらく20世紀でもっとも重要な音楽家で、チェリストであり指揮者でもある。 (ちなみに彼はベルリンの壁の崩壊のとき、まさに壁が壊されていく傍らでチェロを弾いていたのだが--確かバッハ--アホな日本のアナウンサーが、「見てください!あそこでチェロを弾いてる老人がいます!こんなときにチェロなんて!」と彼を喜びのあまりチェロを弾きだした変わった老人扱いして失笑を買ってた)。 そのロストロポーヴィチ氏だが、かの小澤征爾氏とキャラバンツアーを行っているには意外に知られていない。このキャラバンツアーというのは、普段生のクラシックに触れることのなし地方の町や村に小澤氏とロストロポーヴィチ氏率いる「キャラバン・オーケストラ」が直接出向き無料の演奏会を聴いてもらう、というコンセプトだ。今年で5回目を数えるそうだ。これまでに岐阜、長野、新潟、中国の北京・上海、岩手、秋田などを訪れているという。場所は学校の体育館だったり、老人ホームだったり、はたまたお寺の境内だったりと様々だ。当然空調もなにもないので、この両巨匠は汗だくとなって演奏している。ウィーン国立歌劇場の音楽監督と、20世紀最大の音楽家が、である。 そんなツアーの中で、こんなハプニングがあったという。とある市の歓迎会で演奏された高校生によるブラスバンドの演奏にロストロポーヴィチ氏が指揮者で飛び入り参加。曲はスーザの「星条旗は永遠なれ」だったそうだ。その演奏後ロストロポーヴィチ氏はこう言ったという。 「私はアメリカによって起こされたヒロシマとナガサキの恐ろしい悲劇をよく知っています。今、学生たちはアメリカの第二の国歌ともいうべき曲を見事に演奏しました。本当に偉大な国というのは、他の国を許すことができる国なのです。私は偉大な国、日本の国を心から愛しています」 なんとも考えさせられる一言だ。
by flautebanker
| 2005-09-13 00:32
| music
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アバウト
20代後半に日本の金融機関から外資系投資銀行へ転職。毎日悪戦苦闘しながらディールを追っかけていく日常を徒然なるままに。一流の金融マンへの道は遠く険しい。。。 by flautebanker カレンダー
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